東証時間延長、世界を見据えた改革に


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 東京証券取引所は売買の活性化に向けて、取引時間の延長を検討している。作業部会で証券会社や機関投資家の意見を聞き、10月をめどに議論の結果をまとめる。

 現在の取引時間は午前9時~11時半、午後0時半~3時の計5時間。ロンドンの8時間半、ニューヨークの6時間半など海外の主要市場に比べると短い。

 国内でも札幌、名古屋、福岡は取引終了が午後3時半だ。

 終了時間を30分~1時間繰り下げる案を軸に検討しており、実施は2024年ごろの取引システム刷新時とみられる。

 東証は売買代金で海外投資家の割合が6割を超える。海外市場並みの水準を目指すべきだろう。

 だが、それだけでは売買や新規上場は増えまい。国際競争を生き抜くためにも、情報発信の質などを高めていく必要がある。

 貯蓄から投資への移行を促す面からも、取引時間延長は2000年以降3回検討された。11年に昼休みが30分短縮されたが、終了時間の繰り下げは見送られてきた。

 証券会社の意見が分かれているためだ。インターネット証券は延長におおむね賛成だが、対面営業中心の会社はコスト増などへの懸念から慎重な姿勢を示す。

 投資信託の運用会社が取引終了後に行う基準価格の算出時間の遅れを懸念する声もある。

 ただ、日々の業務はITの活用で効率化が進んでいる。証券界は、1954年から変わっていない終了時間の延長に前向きに対応してもらいたい。

 昨年10月の東証のシステム障害で全銘柄の売買を終日停止したことが、今回の時間延長検討のきっかけとされる。取引時間が長ければ、当日中に売買を再開できる可能性が高まるためだ。

 売買終日停止で東証は国内外の信用を損なった。東芝が経済産業省と一体となり一部株主に不当な圧力をかけたとされる問題では、日本の資本市場の公正性に海外から疑問の目が向けられた。

 信頼の回復には便利で安定した取引環境を整備するとともに、投資家への公平な情報提供などが欠かせない。東証は証券各社と連携して取り組むべきである。

 日本の上場企業は取引終了後に決算や買収などを公表することが多い。投資家に判断の時間を与えるためというが、取引時間延長でさらに遅れるのなら、迅速な開示を求める世界の潮流に反する。

 上場企業も情報開示の在り方を再考する機会としてほしい。

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