明日の株式相場に向けて=ソフトバンクG時価総額11兆円割れの衝撃


きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比304円安の2万7281円と反落。前日の米国株安は7月のFOMC議事録開示で年内テーパリングの可能性が高まったことが嫌気材料となったが、東京市場にもこのリスク回避の地合いが伝播した。もっとも国内でも新型コロナ感染者数の増加が加速することへの警戒感が重荷となっており、取引終盤にはトヨタ自動車<7203>が9月に世界ベースで4割減産するとの報道が流れ、同社株に売りが集中し全体相場の下げを助長する結果ともなった。

気になるのは、ソフトバンクグループ<9984>の変調ぶりだ。以前に当欄でソフトバンクGの株価が全体相場のカギを握るとしたが、単に日経平均寄与度が高いからという理由ではない。東証1部上場企業の売買代金では常に上位3傑に食い込み、一時は首位となるのが当たり前の時期もあった。現在でも売買代金上位に入ることが多いが、往時の勢いは感じられない。3カ月あまり前に株価は1万円大台で推移し、2000年のITバブル時につけた最高値19万8000円、分割後修正株価で1万1000円にあと300円少々まで肉薄したが、結果的にそこが天井となり、5月中旬に急落局面に見舞われた。高値圏では18兆円を超える時価総額で、国内製造業の盟主トヨタに次ぐポジションにあったが、足もと11兆円台を割り込んでいる。キーエンス<6861>、ソニーグループ<6758>を下回り、つい最近ではNTT<9432>にも逆転を許した。気が付けば、時価総額10兆2000億円台のリクルートホールディングス<6098>がすぐ後ろに迫る状況にある。

ソフトバンクGの業績は21年3月期に最終利益段階で5兆円近くに達し、国内企業で過去最高を記録した。その時の決算発表は5月12日に行われたが、株価はほぼ同じタイミングで急降下を始めたことは今振り返れば暗示的でもある。当初はMSCI指数イベントに絡む一過性の売り圧力との見方が多かったものの、それは的を射たものではなかった。その後、出資先企業に絡む、さまざまな角度から悪材料が取り沙汰され次第安の展開を余儀なくされた。とはいえ、同社株は個人投資家の人気が高い。直近まで3カ月あまり下げ続けたが、その過程でも信用買い残は膨張し続けた。4月末時点で信用買い残は960万株弱だったが、前週末8月13日現在では1800万株強とほぼ倍化している。これは下げれば下げるほど安値で買えるとみた個人投資家が、リバウンドを見込み信用取引を活用して買い向かった軌跡でもある。ところが、そうは問屋が卸さないのが株式市場の怖いところだ。「(ソフトバンクGは)ヘッジファンドなどの空売り筋にすれば流動性があるうえ、安心して売れる銘柄になってしまった」(中堅証券ストラテジスト)。週足チャートで5月第2週の大陰線の後、下りのエスカレーターに乗ったような無機質な下落トレンドは、通常では見られない異質なものを感じさせる。

では、下げ止まらないソフトバンクGの背景にあるものは何か。それは苛烈を極める米中の覇権争いだ。市場関係者によると「米国は本気で中国を潰しにかかっている。トランプ大統領の時の米中摩擦は派手に見えてもプロレスだった。しかし、バイデン政権は刃物を握ってジリジリと中国との間合いを詰めている」(ネット証券アナリスト)という。これは、バイデン大統領の意思というよりは政権交代時からあったディープステートの意思かもしれないが、いずれにしても米中関係は抜き差しならぬ状況にあるようだ。

そして、今ささやかれているのが、中国企業を全面的にADR(米国預託証券)から外すという荒療治だ。「中国企業はディスクロージャーに難があり、ADR追放を正当化する大義名分に困らない。もちろん、真の狙いは中国企業への投資資金の流れを堰き止めてこれ以上の成長を抑え、米国が覇権を維持することだ」(前出のアナリスト)という。この場合、日本企業でもっとも影響を受けやすいのがソフトバンクGという見方につながる。陰謀論的な匂いも漂うシナリオだが実際、同社が出資する虎の子の中国電子商取引大手アリババ<BABA>は上場来安値を更新中だ。中国政府のネット規制強化の話だけではここまで売り込まれないという見方も出ている。

あすのスケジュールでは、7月の全国消費者物価指数(CPI)、7月の主要コンビニエンスストア売上高、7月の食品スーパー売上高など。また、IPOが2社予定されており、シイエヌエス<4076>とフューチャーリンクネットワーク<9241>がいずれも東証マザーズ市場に新規上場する。海外では、8月の中国最優遇貸出金利など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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