#SDGsインターン 就活 「エシカル」の視点で


最優秀賞に選ばれた学生グループが提案したTシャツのデザイン(左)。右側は英語でプレゼンする学生たち(オンラインZoom画面から、写真を一部加工しています)最優秀賞に選ばれた学生グループが提案したTシャツのデザイン(左)。右側は英語でプレゼンする学生たち(オンラインZoom画面から、写真を一部加工しています)

  • 最優秀賞に選ばれた学生グループが提案したTシャツのデザイン(左)。右側は英語でプレゼンする学生たち(オンラインZoom画面から、写真を一部加工しています)
  • #コロナ下の「ガクチカ」 #SDGsインターン 就活 「エシカル」の視点で
  • #コロナ下の「ガクチカ」 #SDGsインターン 就活 「エシカル」の視点で

     2030年までの達成を掲げる国連のSDGs(持続可能な開発目標)が広く知られるようになり、学生たちは就職活動で人や社会、環境に配慮する「エシカル」の視点で企業に目を向けている。インターンシップ(就業体験)でも、エシカルを盛り込んだプログラムを見かけるようになった。アパレル産業と大量廃棄問題などをテーマに8月28日から9月12日までオンラインで行われたインターンシップには、札幌学院大や一橋大、同志社大など全国13大学・専門学校の学生ら20人が参加した。

     「研修先」となったのはカンボジアで縫製業を営む社会起業家のバナサンさん(40)。適切な労働環境を確保し、大量に廃棄される余剰在庫などを回収して「エシカル」な衣料品の製造販売を手がけている。学生が取り組む課題は、エシカルブランドによる商品企画とマーケティング戦略の提案だ。Tシャツを日本で販売する想定でターゲット層やデザイン、価格の設定、宣伝広告の仕方などを具体化する。

    ■ユニセックスを提案

     プレゼンは英語で行う。期間は2週間。ほとんどの学生は夏休み中だが、20人が5人ずつ4グループに分かれて連日、夜遅くまでSNSなどを駆使して企画書を練り上げた。コンペ形式で行われた12日の最終発表では、収益性や実現可能性、ユニークさを基準に審査。最優秀賞に選ばれたグループは伝統舞踊アプサラをモチーフに日本、カンボジア両国の国花をあしらった絵を1本の糸で結ぶデザインが高く評価された。男女関係なく着られるユニセックスも打ち出し、SDGsの5番「ジェンダー平等を実現しよう」のメッセージも加えた。

     同グループで活動した札幌学院大経営学部経営学科2年の八十科亜純(やそしなあすみ)さん(20)は「入学して1年、2年ずっとオンライン授業で毎日休みのようで閉塞(へいそく)感というかモヤモヤしていた。このインターンに参加して道外の学生や自分では考えつかない助言をくれる社会人とつながりを持てたのが良かった」と笑顔で振り返った。

    ■刺激受け視界広がる

     「好きな英語を生かせる職業に就きたい」と話す同大人文学部英語英米文学科3年の高山絢凪(あやな)さん(20)は「留学したくてもできない状況で、英語がしゃべれるだけじゃダメかなと考えていたので、今回、アパレル業界の社会問題など新しいことを学べて、視界がぱっと広がった。就活でも軸にできそう」と手応えを語った。

     同大フェアトレードサークルの代表を務める三浦佑斗(ゆうと)さん(21)=経営学部経営学科3年=は、南北問題やSDGsには以前から関心を持っていたが「他大学の学生と関われる貴重な機会だと思って参加した。グループのメンバーからすごくいい刺激をもらえた」という。現在就活中で「今回のグループワークが役に立つと思う」。

     主催したソーシャルマッチ(東京)は、東南アジア諸国の社会問題解決につながる人材育成やSDGsに寄与する企業提携を目指し、2019年12月に設立された。今回のプログラムではSDGsの17の目標のうち8番の「生きがいも経済成長も」、12番の「つくる責任つかう責任」、17番の「パートナーシップで目標を達成しよう」が該当するという。

     同社取締役の樋口麻美(あさみ)さん(26)は最後の総括で「短い期間に成長する姿を見て涙が出るほど感動した。バナサンさんも『社内プレゼンにも劣らないレベルで明日にでも採用できそうなものばかり』と驚いていた。こんな経験は誰もができるわけじゃない。自信を持っていい。ぜひ次の一歩を踏み出してほしい」とエールを送った。

    ■SDGs企業「志望度上がる」73%

     就活生は企業選びの際に「エシカル」かどうかを判断材料にする傾向が強まっている。就職情報会社「学情」が2023年卒業予定の学生を対象に実施したインターネット調査で、SDGsに取り組んでいる企業に対して「志望度が上がる」「どちらかと言えば上がる」と答えた学生がと73.9%に上った。自由回答には「社会貢献と利益の追求を両立している企業は就職先として魅力を感じる」、逆に「取り組んでいない企業は今後成長を続けていくのが難しいと思う」などの声があった。

     一方、企業側はまだ動きが鈍い。帝国データバンクが全国約2万3千社を対象に6月に実施した調査では、SDGsについて「意味・重要性を理解し、取り組んでいる」とした企業は14.3%にとどまった。

     今回紹介したインターンシップの参加費は1人4万4千円。学生にとっては決して安くないが、札幌学院大は参加費の8割を補助し挑戦を促した。同大キャリア支援課の今野亮介さんは「コロナ下でガクチカ(学生時代に力を入れたこと)が語りにくくなっている。SDGsはガクチカとしても非常に有効」と狙いを説明する。(長谷川賢)

    <ことば>アパレル産業の社会問題 低価格で大量の商品を販売するファストファッションは原材料の大量仕入れと大量生産による低コストを土台に成り立っている。一方で大量の余剰在庫が廃棄され、東南アジアの縫製工場での低賃金労働も問題になっている。

    <取材後記> 英語で発表する学生たちが頼もしく映った。同時に、やりたいことをコロナのせいで諦めてしまう人たちは差をつけられる懸念も感じた。できない理由はそれぞれあるだろうが、かけがえのない学生時代に「できること」を見つけてほしい。一歩を踏み出せば、その先に世界は広がっている。(K)

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