明日の株式相場に向けて=「待つも相場」流れの悪さを好機に変える株式明日相場


きょう(8日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比248円安の2万8118円と続落した。日経平均は安く始まった後、前場は売り一巡後に下げ渋る動きをみせたものの、後場寄りに一段安となり、更に引け間際にダメ押しの大口売りが出て安値引けとなった。下げ幅は250円弱だが、今週に入って日経平均は660円あまり既に下げている。重苦しい相場である。日々の下げ幅自体はたいしたことがないのだが、ずるずると下値を切り下げる展開で、なかなか切り返しに向けた足掛かりを見つけることができないでいる。

米国では、今年に入ってインフレ懸念を代弁するような米10年債利回りの上昇がクローズアップされたが、4月以降はそれまでの騒ぎが嘘のように長期債が買い進まれた。気がつけば足もと1.31%台と約4カ月ぶりの低水準まで落ちてきた。これが意味するところに「新型コロナウイルスの逆襲を警戒している」とする声もある。世界的に新型コロナウイルス変異株の感染拡大が観測されており、これまで既定路線と思われていたアフターコロナの景色が実際はまだ先のことになるのではないかという思惑が高まってきた。世界景気の回復シナリオが後ズレすることを米長期金利が指し示しているというわけだ。特に、ここにきて水面下で取り沙汰されているのが、アフターコロナ一番乗りで加速した中国景気がピークアウトしているとの思惑で、「アメリカ発のインフレ警戒は、いつの間にか中国発のデフレ懸念にすり替わっている」(ネット証券アナリスト)という。

とはいえ、米国株市場では前日も主要株3指数は揃って上昇し、史上最高値圏で売り物を吸収している。日本株もこれにキャッチアップしようとするポーズくらいはつけてもいいようにも思えるところだが、「機関投資家目線では、これまでのように米国株を横にらみに日本株を出遅れ修正狙いで買いポジションを積んでいくという局面ではなくなっている」(国内投資顧問ストラテジスト)という。いうまでもなく、新型コロナのインド型であるデルタ株の感染拡大を懸念している。このデルタ株は従来型の新型コロナと比較して感染力が2倍、重症化率が5倍といわれるようにかなり強力で、若年層への広がりが目立っているとされる。少し前までは、新型コロナに対しては白人が弱く、アジア人は相対的に強いというのが暗黙のコンセンサスであった。これは昨年の感染者数の伸びを見ても明らかで、実際に欧米とアジアではかなりの温度差があった。それが、デルタ株はアジア人への感染が顕著であることが確認され、これまで以上に油断のならない敵となっている。

株式市場においても、今は投資環境の悪さを意識せざるを得ない。7月に入ってからの相場を見れば一目瞭然で個人投資家の資金の回転はほとんど利いていないのだが、信用の買い残は投げが出るどころか逆に膨張している。国内ネット証券大手の話では、店内の信用買い残高が前日時点で今年初めて3000億円台に乗せたという。外国人投資家が五月雨的に売りを出す一方、これに個人が買い向かっている構図だ。

ところが、信用評価損益率は全体でマイナス7.6%、東証マザーズ市場だけでマイナス16.6%と低調で、東証1部、マザーズいずれも緩やかに悪化傾向にあるという状態。マザーズについては信用評価損益率が20%を超えるような局面になれば投げを懸念しなければならないが、「今はまだその段階にはない」(マーケットアナリスト)というのが足もとの状況である。しかし、もし米国株がバランスを崩したら少々厄介な状況になることは覚悟しておかなければならない。これまで世界株市場を引っ張っていた1本のピアノ線が切れたら、波状的な売りを呼ぶ可能性もゼロではない。

東京市場では、きょうとあすの2日間でETFの分配金捻出に絡む売り圧力が合計8000億円規模出ることが想定されており、あすのオプションSQ算出も考慮して見送りムードとなるのは仕方がないところ。ただ、来週以降に前方の霧がすっきりと晴れるかといえば、必ずしもそうはならない可能性もある。本来であれば高揚感に包まれるはずの7月23日の東京五輪開幕が、新型コロナ変異株への懸念に形を変えてマーケットに覆いかぶさっている。由々しき状況には違いないが、それはそれで活路はあるはずだ。待つも相場。下値に突っ込む場面があれば買いを考えたいが、とりあえずここは個別株も様子をみたい。

あすのスケジュールでは6月のマネーストック、5月の特定サービス産業動態統計など。海外では6月の中国消費者物価指数(CPI)、6月の中国卸売物価指数(PPI)など。また、G20財務相・中央銀行総裁会議が10日までの日程で開催される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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